カラコルム・ハイウェイ

 今回の旅行のハイライトはカラクリ湖観光です。カシュガルから崑崙山脈の端を抜け、タシュクルガンから、国境のクンジュラフ峠(4943m)を越えて、カラコルム山脈沿いにパキスタンのカシミールへ抜ける道をカラコルム・ハイウェイと呼ばれています。現在も中国とパキスタンを結ぶ幹線道路で、商業用のトラックが盛んに往来しています。シルクロードの時代もほぼ同じ所を抜けて、往来していたようで、所々に、旧道や隊商宿の跡が残っていました。かの玄奘三蔵もこの道を登り、タシュクルガンに滞在してから、パキスタンを経てインドへ向かったようです。カラクリ湖(3600m)はタシュクルガンの手前になります。
 カシュガルから、草原や砂漠の中を南へ2時間走ると、崑崙山脈の山裾へたどり着きました。そこから河川に沿った渓谷の登りになります。道路は2車線ですが、よく舗装され、快適でした。検問所を過ぎた辺りから、渓谷の幅が狭くなり、急峻な山裾を上がります。周りの山は全て岩山で岩肌はところにより赤系から、青、グレーなどと変わります。やがて、それらの岩山の奥に、雪を被った白い峰々が見え始めました。道路からだと、頭の方がわずかに見える程度ですが、その中で一番高い所が崑崙山脈の最高峰ゴングール山(7719m)だそうです。1時間程上ると、広い高原地帯へ抜けました。道路に沿ってパオがぽつぽつと並び、時折、家畜を追っているキルギス族やタジク族の人々の姿が見られます。
 高原をしばらく走ると、カラクリ湖に着きました。幸い天気は快晴に近く、広々とした丘陵の眼前に大きな青いカラクリ湖がありました。カラクリ湖の対岸はゆったりとした崑崙山脈の裾野が広がり、その先に真っ白な山々が連なります。ちょうど湖の正面に、他の山から少し離れて独立峰のようなムスターグアタ山(7546m)の丸みをおびた威容が広がります。湖畔の広い草原には、観光用のパオが並び、乗馬用の馬やラクダがたくさんつながれています。我々もパオの中で昼食を取り、食後は馬に乗って湖畔の景色を楽しみました。冬の寒さは分かりませんが、急峻な渓谷を登ってきた隊商には、この周辺の広々とした高原にたどり着くと、その清清しさに緊張や疲労も吹き飛んだのではないでしょうか。


平原を抜け広い河原を上る            舗装されたきれいなハイウェイ       
 雄大な崑崙山脈            最高峰ゴングール山か?     
沿道の物売り、タジク族?          夏には放牧で山へ−住民のパオ       
神秘的なブロンクリ湖          ブロンクリ湖 後ろは砂の山        
カラクリ湖 山はムスターグアタ山    カラクリ湖 茶店や観光のパオ