2月の26日から新学期が始まりました。南京の各大学は鉄道の混雑を緩和するため、新学期の開始時期を少しずつずらしています。南工大は早めに始まりました。春節は18日から24日まででしたので、学生達は、日本流に言うお屠蘇気分も抜けないうちに大学に戻ってきたようです。中には、列車の切符がうまく買えず、新学期に間に合わない学生も何人かおりました。 こちらも新学期に間に合わせるため、22日に日本を発ちました。例によって、上海浦東空港から直行バスで南京へ向かいましたが、上海の幹線道路は春節のためか、随分すいていました。そのため、普段はたっぷり5時間かかる道程も、4時間ほどで着きました。22日は春節5日目で、「財神を迎える」日だそうで、花火を上げてにぎやかにお祝いをするそうです。バスが南京へ近づく頃にあたりは暗くなり始めましたが、まわりでポンポンと花火があがるのが見えるようになりました。 1ヵ月半ぶりに宿舎へ戻りましたが、まだ夜の7時過ぎだというのに、レストランを除いてほとんどの商店が閉まり、人通りも普段よりは少なめです。しかし、街のあちこちから絶え間なく花火が上がります。これまで、冬休みのたびに日本へ帰っていたため、春節の期間を中国で過ごすのは初めてです。レストランで夕食をとっていても、外の花火がやかましくて、落ち着きませんでした。 翌日、春節の模様を楽しもうと、近くの湖南路、山西路といった繁華街を歩いてみました。こちらはさすがに春節の人出を当て込んだ商店が賑やかに営業しています。デパートの前には大きな新年のデコレーションが飾られていました。おもしろいのは、果物屋でした。宿舎のまわりの商店はほとんどが店を閉めているのですが、数件ある果物屋だけが、朝早くから夜遅くまで店を開けています。どこの店でも、様々な果物を盛り込んでリボンで飾った籠やフルーツ・バスケットを店の前にたくさん並べています。春節中に、親戚や知人の家をたずねる時、こうした手土産をもって訪問するのでしょう。 久しぶりの南京ですが、こちらも今年は日本と同じように暖冬でした。身を切るような寒風は無く、日中は穏やかな日差しが続きます。南京の梅の名所の梅花山へ行ってみました。梅花山は紫金山の麓、中山陵や明孝陵を取り巻く大きな自然公園の一角にあります。ちょうど南京梅祭りの最中で、芝生の広場では仮設舞台が作られ、民族舞踊や歌謡ショーが行われていました。舞台の周りにはたくさんの屋台も出て、多くの人でにぎわっていましたが、しかし、肝心の梅の花はもう数えるほどでした。昨年の近況ではこの時期ほぼ満開と書きましたが、今年はもう散り始めたようです。そういえば、校庭にあるコブシの木も3月始めには、蕾が出始めて、あっという間に枝一杯に花を咲かせました。例年より半月は早いのではないでしょうか。 旧暦の新年最初の満月の日は、日本では小正月ですが、こちらでは、元宵節といい、広い意味での春節もここで終わります。今年は3月4日が満月でした。元宵節もまた花火で始まりました。前日の夜半、0時を過ぎたあたりから、もう花火が鳴り始めました。夜が明けて、日中も絶え間なくどこかで花火が鳴っていましたが、驚いたのは暗くなってからです。ちょうど日没が6時半頃でしたが、あたりが暗くなったとたんに、そこら中から爆竹と打ち上げ花火の音が一斉に響き始めました。街全体がウワアンというようなうなりをあげているようです。各家の門の前で花火を上げるのだそうですが、街中で門も無く、通りに面した商店では車の通る道路で、アパートやマンションでは、階段の登り口や建物のすき間から、ひどいのは3階の窓を開けてそこから花火を上げていました。あたりはかまわず車が通りますし、また、マンションの周りは、住人の車がたくさん止めてあるのですが、よく火事にならないものだとハラハラしました。花火は帯のようにつながった爆竹から始まり、あとは、ポンポンと打ち上げ花火が続きます。家庭や商店で上げるため、日本の花火のように何尺といった大きな花火はありませんが、ちょうどビルの屋上から顔を出す高さに、パァーと花火が開きます。街の通りには今日が最後とたくさんの花火の屋台が出張っています。覘いてみると20連発の爆竹が5元、50連発の爆竹が10元ほどでした。さらに、大きなデコレーションケーキの箱のようなものが何箱も積み重ねてあって、中には打ち上げ花火がぎっしりと詰まっていました。お客はこの箱を何箱も買って行きます。1箱50〜60元はするでしょう。結局この日は夜中まで花火が鳴り止まず、部屋にいてもうるさくて、本やテレビも見れませんでした。大晦日から元旦、財神祭、元宵節と長い春節の間に各家々で何回も花火を上げています。来福や息災を願ってのことでしょうが、きっと数百元以上花火代を使っていると思うとあきれます。 元宵節は、灯籠節とも言い、各家々は灯籠を飾って祝うのだそうですが、私の近所では灯籠を見かけませんでした。でも小さな堤燈を下げた子供達とすれ違いましたから、どこかで灯籠を飾って、祝っているのかもしれません。また、この日は団子を食べるのが仕来りです。団子は「湯円」といって、白玉を少し大きくしたようなもので、中にそれぞれ小豆、ゴマ、ピーナツ、肉松(肉でんぶ)などが入っています。朝、スーパーに行くと、めずらしく行列ができていて、湯円の特売をしていました。特売場の横で手作り湯円とあったので、そちらを買って、茹でて食べました。私には小豆が一番うまいと思いましたが、少々買いすぎました。 さて、26日から始まった新学期ですが、今期も授業時間は3科目6時間とおいしいものです。教師を始めた当時は、私も学生も楽しければ良いと面白い授業を心がけましたが、だんだん慣れるに連れて、正しい日本語を使えるようにさせたいと欲がでてきました。そのため、希望して、変な癖が出る前にと1年生の基礎会話を担当させてもらうことにしました。その他の科目は3年生のビジネス日本語、新聞精読になります。3科目ですので、授業は月曜と火曜の2日で終わります。1人で部屋にいてもおもしろくありませんから、学生と相談して、特別授業として、1年生、3年生の会話練習をすることに決めました。毎週木曜日午前中に1年生、午後に3年生、7〜8名ずつを相手に訓練してみます。初回は昨日始めましたが、1年生たちにとっては私が初めて話をした日本人だったようです。 話は変わりますが、日本に居る時よく中国の新幹線について聞かれました。以前の日本のようにオリンピックに間に合うようにもう建設が進んでいるでしょうと聞かれますが、南京市街ではその気配も無いため、そんなことは無いようですと答えてきました。こちらに来てからニュースを整理して、ようやくその実態が分かりました。中国の新幹線計画は2本立てで、まず、日本や欧米から輸入した新幹線車両をベースにした高速車両を在来線の上に走らせ、その後、北京−上海を結ぶ新路線を建設して2010年の上海万博を目指して開業するようです。この春節中に、上海−南京、上海−杭州間の在来線を日本の東北新幹線「はやて」をベースにした新幹線車両の運行が開始されました。現在、南京−上海へは1日約4本で、時速160km、所要時間は2時間半ほどです。2時間半ならば、昨年も在来線で2時間15分という特別急行が1日2本ありましたから、そんなに速くはありませんが、4月から時速も200km以上にアップして、本格営業を開始するそうです。一昨年南京に住み始めた頃は、南京−上海間は電化されておらず、北京−南京間も同様ですが、電車は走っていませんでした。それが、昨年中に南京の線路に電柱が立てられ、長江大橋の鉄橋の上にもあっという間に電柱が敷かれました。まだ、全車両電化まではいっていないでしょうが、何本か電車が走り始めたところです。そんな状態から、もう新幹線ですから、開発の速度は驚く程です。しかし、上海から南京を通る路線は、北京、西安、ウルムチ、チベットへとつながっていて、その上を24時間絶えず列車と貨物が走っている幹線です。そこを新幹線が通るとなると、普通列車や通常の急行列車は駅に着くたびに、頻繁に特急待ちとなり、さらに遅くなるのではと逆に心配です。 早いものでもう3月中旬を過ぎました。ニュースでは、雲南省の菜の花畑が満開になった写真が載っていました。今週は、気温も10℃を下回り、雨がぱらつく肌寒い天気でしたが、一雨ごとに温かくなるでしょう。昨年は、南京の南の高淳へ菜の花を見に行きましたが、今年はどこにするか今から楽しみです。また、次回の近況でそんな様子がお伝えできればと思います。季節の変わり目で天候が不順です。お身体お気をつけください。
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