キャンパスの鳥達 楡中はすっかり夏模様となりました。新緑も青々と濃緑に代わり、将軍院の隣りにある和諧園では赤と白のバラが、また、学生寮の裏ではタチアオイと夏の花々が咲いています。楡中の畑では、ソラマメやジャガイモが白い花を咲かせ、トウモロコシや麦もだいぶ大きく伸びてきました。中国では春の畑に咲く一面の菜の花が風物詩ですが、楡中では見られません。その代わり、畑一面に小さな青い花が咲いて、鮮やかです。今までこの青い花が何なのか分かりませんでした。授業で写真を見せて学生達に聞くと、地元の学生が胡麻だと教えてくれました。日本のインターネットで調べるとゴマの花は青くありませんが、中国のサイトで調べると、胡麻とあり、空色をした可憐な花の写真が載っていました。今年は灌漑用水の工事が遅れたため、胡麻が植えられたのは例年より遅めでしたが、5月から6月の始めにかけて、あちこちの畑が青い絨毯を一面に敷いたようで、楽しませてくれました。 さて、キャンパスや楡中の田園では、冬から春、夏にかけてたくさんの野鳥がにぎやかにさえずります。キャンパスで一番多いのはスズメで姿形も日本と同じです。その次が、シジュウカラやオナガをよく見ます。シジュウカラはツーピ、ツーピと独特の声で鳴き、オナガは優美な体のわりにはギャアギャアと汚い声で鳴く様子も日本と変わりません。他にも、ヒヨドリやジョウビタキ、アカハラなどのような鳥もたくさん見かけますが、なかなか近寄れないためとあまり鳥に詳しくないせいか、実際は何なのかよく分かりません。ただ、関東でよく見かけるメジロやウグイスはまだ見たことがありません。 キャンパスの樹木には時々アカゲラが来て、木肌をつついています。朝や夕方にキャンパスや萃英山の山麓からカッコー、カッコーときれいな鳴き声が聞こえてきます。始めはこのアカゲラが鳴いているのだと思っていましたが、ある時そっと近寄って見てみるとドバトでした。ポッポー、ポッポーと鳴いているのでしょうか。でも、どう聞いてもカッコー、カッコーと聞こえます。 例年、5月から6月にかけて、ツバメが渡ってきます。他の鳥達とは飛ぶ速さが違い、あざやかに空中を滑空していきます。宿舎の前を忙しげに飛び回っていたと思っていたら、ある日ぱったりいなくなりました。他へ渡ったのかと思いましたが、2,3日するとまた忙しく飛び交い始めました。キャンパスのツバメは餌場が決まっていて、日々移動するのでしょうか。不思議です。 萃英山の麓ではよくキジに出会います。散歩していると、突然近くの藪から5,6羽が大きな羽音をたてて逃げていきます。こちらも思わずギョッとさせられます。 キャンパスの鳥で一番気に入っているのが、頭に冠羽をつけたキレンジャクです。実は、本当にキレンジャクなのかよく分かりませんが、日本の図鑑でみるとよく似ているので、そう思っています。あまり速くは飛べず、近寄るとパタパタと飛んで行きます。全体は鮮やかな茶色ですが、羽に白い線が入っており、羽を広げると白い輪のように見えます。頭の冠羽がなんともいえず可愛らしく思います。鳥の名前を正確に知るために、写真を撮ろうと思いますが、私のデジカメは倍率が低く、そっと近寄ってもすぐ逃げられるので、なかなかうまく撮れません。花と同じで、名前が分かるとぐっと身近に感じるのですが。 いつまで続く接待不況 習近平政権になってから、前回は中国の夢を書きましたが、大きな動きとしてもう一つ経費節減があります。昨年12月に習近平主席は八項規定を発表し、最近では中央政治局から範を示そうと、その強化に努めています。八項とは1)中央政治局員活動の簡素化、実質化、2)会議の簡素化と改善、3)文書の簡素化と改善、4)外国訪問の規範化、5)警備の簡素化、6)新聞報道の改善、7)発表内容の管理、8)倹約、節約の徹底を言いますが、特にその中で三公消費が問題となりました。三公とは1)海外出張、2)飲食接待、3)公用車の三つをいいますが、この三公消費は年々増加の一途をたどり、最近ではおよそ1兆元近く、年間財政収入の1割程もあると言われています。それが槍玉にあがり、中央政府から地方政府へと節約が徹底されたため、急に経済が冷え込み始めました。 先日、懇意にしている旅行会社の人と会食をしたのですが、節約令のため高級料理店は軒並み閑散としているそうです。中国の都市を歩くと、海鮮料理と看板を掲げた高級料理店が目に付きます。蘭州も例外では無く、海から何千キロも離れているのに、アワビやエビなどの海鮮料理を看板にしています。こうしたレストランでは一皿何百元もする料理が当り前なので、庶民が料理を楽しむというよりは、役人や政府の職員を対象とした接待用レストランと言えます。こうした高級店での宴会には、料理と共に、何千、何万元もする茅台酒(マオタイ)や五糧液といったブランド白酒が付きもので、今までこれらの酒造メーカーは我が世の春を謳歌してきました。それが三公消費への規制が次第に強化されるにともない、高級料理店は軒並みガラガラになり、おまけに、茅台酒や五糧液の価格も暴落し始めました。いくら中国経済が大きいといっても1兆元近くあった消費がパッタリ無くなったわけですから、年初から中国経済は落ち込んでいます。事実、メディアの経済観測をみても、「小売売上高の伸び率が2013年入り後に低下。飲食・宿泊業と卸小売業の企業マインドは悪化。」だそうです。 最近、中央政府では会員カード返却運動が起きています。中国ではVIPカードが盛んです。私でもレストランなどで宴会をしてたくさん使うと、レストランからVIPカードをもらえます。以降、そのレストランで食事をした時、そのカードを使うと何割か安くなります。きっとその中には超VIPカードがあり、それを使うとほとんど無料でサービスが受けられるのではないでしょうか。近年では、汚職が社会問題化しているために、さすがに現金を供与することは無くなり、こうしたVIPカードや各種高給クラブや施設の会員カードを贈ることが流行っていたようです。きっと特定の部門の職員などは何枚もこうしたカードを持っていることでしょう。中央政府では利益供与の手段となったこうしたカードを問題として、職員達に会員カードの自主返却を呼び掛けています。 良い悪いは別として、こうした三公消費の節約を徹底してやればやるほど経済への影響は必須でしょう。年初来、小売業を中心とした不景気が続いています。いったいこの不景気はいつまで続くのでしょうか。 盛んになるグループ購入 以前、近況その20で、インターネット通販について書きました。今回はさらに進んでインターネットのグループ購入、共同購入について書いてみたいと思います。日本でも一時期インターネットでのグループ購入が話題になりましたが、最近ではどうなのでしょう。今、中国ではこのグループ購入が盛んです。ネットのグループ購入会社が提携した会社から団体割引で商品を安く仕入れます。そして、ネットでその商品を大量に転売するといった仕組みです。商品の種類や数に制約はありますが、個人の購入者から見れば、ネット通販で商品を買うのと同じ仕組みで、安く商品を購入できます。中国ではこれを「団購」といい、大きな通販サイトではほとんどこの団購の窓口があるようです。 上の項で、懇意の旅行社の人と会食と書きましたが、実は、その人が団購サイトでレストランを予約してくれて、同僚と3人で会食しました。レストランは高級海鮮料理の店で、6人前1369元のコース料理が2.2割の269元で食べられました。料理は9種類で、イカ、貝類、イシビラメ、そして、メインはザリガニ(龍蝦)でした。これで1369元なのかはいささか疑問でしたが、269元ならば文句はありません。蘭州へ来て初めて海鮮料理を食べました。このレストランは接待用高級店なのですが、最近の不景気で方向を転換し、団購サイトなどを利用し広く促販しているようです。平日なのに結構混んでいて、テーブルを見ると我々と同じコース料理がならんでいましたから、他のお客も団購利用者が多いのでしょう。 団購のサイトを見てみると、食事、旅行、観劇、衣服などなんでもあるようです。そして、ほとんどの価格が半値以下でした。学生達と話して見ると、学生達も結構利用しています。蘭州へ出かけて、80元以上の映画の切符を30元で買い、帰りに、火鍋の店で、数十元で食事をすると言っていました。団購はこれからさらに広がっていくのでしょうか。中国社会もどんどん便利になっていくようです。 早いもので今学期の授業は全て終わり、あとは期末試験を残すのみとなりました。試験日程がなかなか決まらなかったため、航空券の手配が遅れました。今回は甘粛省の西にある新彊へ旅行してから帰省しようと思っています。なお、先日外事所と来年度の契約をすませました。また1年、蘭州で頑張ろうと思っています。だんだん移動するのが面倒になってきたせいもありますが、ですが、蘭州の周辺はまだまだ行きたいところがたくさんあり、もっともっと留まりたいと思っております。
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