蘭州近況その11 (2011年11月)


今年の冬は暖冬か

 今年は夏から秋にかけて涼しい日が続き、特に、初秋は寒いくらいでした。この分では今年の冬は冷え込むのではと恐れていましたが、11月に入っておだやかな日々が続きます。昨年は、秋の中頃からぐっと冷え込み、10月には積雪がありました。それに比べると、まだ雪も降らず暖かく感じます。初秋から中秋にかけて冷え込んだおかげで、室内のスチームも昨年より1週間早まりました。おかげで、昼過ぎに窓から日が差し込むと、思わず窓を開けるほど室内は暖かくなりました。

ただ、11月の2週目を過ぎたころから最低気温が零下となり、現在は−3〜−4℃まで下がり始め、朝起きるとキャンパスは霜で真白です。キャンパスの木々はすっかり落葉し、少し前まで、毎朝掃除のおばさん達が竹ぼうきでたくさんの落葉を集めていました。幸い蘭州市内と違って空気が澄んでいるせいか、このところ夜になるとよく星が見えます。7時を過ぎるとまだほの暗い東の空に一つの惑星が姿を現します。8時、9時頃には東から天頂のあたりに煌々と輝いています。調べてみると木星でした。この時期、木星の等級は−2から−3だそうで、金星や火星はともかく、こんなに明るいものだとは気が付きませんでした。

 

増える草食系男子?

 インターネットの普及のせいか、若者達の様相はどこの国でも急速に同じようになっているのではないでしょうか。2年生の作文で夢や希望を書かせたところ、誰もが同じように自然の豊かな田園でスローライフを楽しみたいと書いてきます。そうかと思うと、金持ちになって世界旅行をしたいだの、外交官になって中日友好につくしたいだの、子供の夢のようなことを書く学生も少なくありません。大学の23年生にでもなれば、具体的な将来設計に基づいた堅実な夢や目標を書いてくるのではと期待していたのですが、あまりおもしろくありません。学生達は大学を卒業しても所詮この程度と見切っているのでしょうか。気負い過ぎるのも問題ですが、端から力が抜けていては、行く先が思いやられます。

 そういえば、数年前の学生と比べてある変化に気が付きました。以前の中国の学生は、灰色の受験時代が終わり、大学に入学すると恋人探しに夢中でした。日本のように異性の友人達と広く付き合うというより、いきなり恋人宣言をして、これ見よがしに手をつないでキャンパスを歩いていました。男朋友、女朋友(恋人)がいないと肩身が狭くなるほど、皆夢中で恋人を探していました。それが、最近、男女共に恋人探しへの熱意が薄らいでいるような気がします。少し前の人民網に「男閨蜜」という言葉が載りました。「男閨蜜」とは、女性が何でも話せて、甘えたりふざけ合ったりできて、そして、泣きたい時に肩や胸を貸してくれる男の親友だそうです。最近の流行で、映画やドラマに盛んに登場しているようです。そういえば、キャンパスで恋人達を見ても、男性の方がやさしく、辛抱強く、唯々諾々と女性に従っているようです。なんだか、積極的に女性にアタックするより、恋人ではなく、よい友人として和気藹々と付き合うことを望んでいるように思えます。

 今年の、20111111日は光棍節(独身の日)でした。1は棍棒で、何も無い独り者のイメージだそうです。その16つも並ぶ今年は1世紀に1度という特別な日でした。キャンパスのあちこちで独り者を慰める催しが行われていましたが、どうも、独り者が増える傾向にあるようです。

 

不動産下落でバブル崩壊?

 最近、中国ではインフレ抑制の金融引き締めのため、マンションの購入者が減って、マンション価格が下落しているという報道が目に付きます。日本のメディアでは、不動産下落によるバブル崩壊とセンセーショナルな見出しが躍ります。こちらでは報道統制が厳しいせいかバブル崩壊という報道がないため、人々は比較的冷静です。ただ、先日面白い記事がありました。上海で、売れないマンションの販売促進のため、23割価格を下げて売り出したところ、既購入者の不満が爆発し、金を返せとマンションの販売所を占拠したそうです。日本でも数年前によく見られた光景ですが、日本では販売業者の方が折れて、既購入者へも配慮していたと思います。ただ、上海では、既購入者に冷たく、販売業者はともかくとして、上海政府からも何の反応もないようです。当該マンションでは1u当たり18500元を14000元に値下げしたようです。思えば、2003年に上海のすぐ近くの蘇州へ赴任した頃、1u当たり2000元が4000元になったと大騒ぎしていたものですが、それが、現在では、蘭州ですら1u当たり1万元は下りません。マンション価格も随分上昇したものです。

 ところで、こちらのマンションの販売価格は1u単位で値付けされますが、その広さは日本のように内壁や壁芯で測るのではなく、外壁で測るため、同じ100uでも随分狭く感じるようです。また、これもよく言われますが、購入者へは建物と外装やインフラが整った時点で引き渡されます。内装は購入者が自分で手配するのが普通です。こちらの人に聞くと、もちろん内装専門業者はいるのですが、そうした業者に一括して頼むと、素材に安物が使われて、なおかつ、割高なため、頼まないとのことです。中国のちょっとした都市では、郊外に巨大なホームセンターや家具センターがいくつもあり、購入者はそこへ自分で行って気にいった素材をそろえます。

 キッチンやバス、トイレの水回りから、天井、照明、窓枠、壁紙、フローリング、最後に、家具や電気製品といった具合に工事の工程に合わせて、素材を選び、購入します。そして、キッチンやバス・トイレの専門業者に工事と据え付けを依頼します。また、内装は上から下へ順に行うのだそうで、これも照明や壁紙、フローリングなどそれぞれの業者に依頼することになります。業者が工事している時には、時々購入者が立ち会って、作業のチェックや素材の不足分の補充、果ては、粗大ごみの廃棄など、細々としたフォローが必要なようです。こうすることで、コストが節約でき、また、素材も品質のよいものを選べるようですが、手間がたいへんです。なんだか、現場監督として自分で造っているような感じです。そのため、マンションが完成して引き渡されてから、住むまでには、早くて半年、普通1年程度はたっぷりかかるようです。こうした手間暇を掛けているせいか、最初から賃貸を目的に作られた部屋は別として、こちらのマンションの住まいは外側からは思いもよらない程しゃれてきれいなものが多いようです。