Shiokawa Collection
塩川コレクション
2004.1.12
1972 Hernandez y Aguado (Madrid)
serial number : 425
Aguado........................................Hernandez
1972年製エルナンデス・イ・アグアド、シリアルナンバーはNo.425です。弦長は660mm、バック&サイド材は柾目のハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)、トップ材はジャーマン・スプルース(ドイツ松)です。
サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(Santiago Manuel Hernandez 1895〜1975) とビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス (Victoriano Aguado Rodriguez 1897〜1982) のふたりによって製作された銘器です。製作は、エルナンデスがギター本体の製作を受け持ち、アグアドがニス塗り、ヘッドの飾りや細工を施して、全体の点検を行うという共同作業で行なわれました。
1950年にギター専門工房としてスタートしたときの1本目をNo.100として1974年最後の作品No.454まで連続して355本製作されています。もちろん、ギター専門工房を始める前からもギターを製作しており、1924年の製作番号No.1のギターから始まり、何本製作したかは定かではありませんが、全部で400本以上製作したことは確かみたいです。また、これ以外にも工房ブランドとしてのギターもあるようです。実際、何本かサインやシリアルナンバーがないエルナンデス・イ・アグアドのラベルが貼られているギターを見たことがあります。ちなみに、最初のシリアルナンバーNo.1と最後の No.454のギターが、茨城県八郷町のギター文化館に展示されております。
アグアドは身体が不自由であったため、晩年の1970年頃から実際の製作には携わらず、エルナンデスは、娘婿であったヘスス・ベレサール・ガルシア (Jesus Belezar Garcia 1920〜1986)と一緒に製作していたようです。おそらく、この1972年のギターも、アグアドは設計において携わったかもしれませんが、実際の製作は、エルナンデスとガルシアが行ったものでしょう。
弾きこなすこと自体なかなか難しいですが、なんといっても、全体的な存在感のあるどっしりとした大きな音、特に3弦および4弦の中音域の響きは、他の銘器とは一線を隔するものがあります。