再生音におけるリアリティの為の考察

最近の課題と整理


目次

初めに
ストッピング・ダイオード(SD)に関して
出力回路の低インピーダンス化
G2のSD
測定方法の問題点
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初めに

 現在常識とされている、入力と出力の波形が相似なら録音時の音響が再現されるというのは本当でしょうか。歪みが皆無に近いトランジスタアンプと手作りの真空管アンプを聞き比べると、真空管アンプのほうがリアルに聞こえたりするのはなぜでしょう。電気的な特性はどう考えても現代の半導体アンプのほうが優れている事は間違えありません。この様な不思議な現象はオーディオを趣味とされている方は良くご存知の事と思います。思い付く事を幾つかリストアップしてみました。

なぜこのように為るかについては明確な解答がありません。私は「どうせ解らないだろう」と思っていました。しかし、この考えは数年前のある手作りアンプとの衝撃的な出会いによって、「解るかも知れない」に変りました。

ここで一度今までの事を整理してみる事にしました。経緯その他に関しては旧ページを参考にして下さい。


ストッピング・ダイオード(SD)に関して

SDの効果

SDは当初仮説のような物でした。しかし、既に数十例実験がいろいろな条件で行われました。一様に効果があるとの報告を得ています。効果として幾つか挙げる事が出来ます。

以上5点は代表的な改善の傾向です。

SDとLNR

SDとLNRの区別をする必要があります。当初LNRという形式を考えましたが測定で選られる違いは僅かでした。出力管にLNRとして使用した2極管はSDの要素も多分に持っています。そこで、スピーカーなど純抵抗以外の負荷の場合はすべてSDと考える事としました。ですから708アンプなどはSDと考えた方が説明がうまくいきます。ラインアンプのように純抵抗負荷を相手にする場合のみ、LNRと言う事となります。但し、同一管によるLNRを使用したアンプはソプラノ等の再生において有利になります。これに関してはSDとは関係ありませんからLNR的な要素を含むと考えられます。

成立の条件

効果がはっきり出るための条件を挙げます。

SDとLNRは良く似ています。私の分類ではシリコンダイオード若しくは内部抵抗の低い整流管等を使用した場合に関してSDとします。整流管等を使用した場合素子での電圧降下が大きく純粋なSDと言えなくなります。LNRに関しては後で詳しく考えます。


SD回路に関して

SDに関してはいろいろなバリエーションが考えられます。最も簡単な構成はダイオードを一つ入れる事です。トランジスタを使用した仮想インダクタンスはSDと同じ働きをします。又、ダイオードの代わりにチョークコイルでも同様の効果が期待できます。

lnr_type.gif

SDは出力トランスから電源回路に対して電流の逆流を阻止する効果があります。SDによって音質の変化が発生すると言う事は、電流の逆流が発生している事を示しています。もし電源から取り出された交流エネルギーのすべてをスピーカーが吸収するならSDを入れても効果が無いはずです。尚、3極管シンボルを使用していますが、実際には電圧出力であれば5極管等にNFを掛けた物でも同等です。


実験 1

実際にSDを入れてみましょう。ダイオードは整流用のダイオードで十分です。入れた時と外した時の音の違いを確認して下さい。NFを使用した回路では効果が出ない事があります。オーバー・オールNFを使用している場合は外します。トランスを含まないNFに関しては問題ありません。


実験 2

電源のコンデンサの容量を徐々に増やし音の違いを確認しましょう。100uF程度からスタートし2000uFを目標に徐々に電源コンデンサを増やしていきます。1000uF付近まで低域が増強される現象が確認できると思います。その後増やしても変化が無くなります。


SDが入っている場合のトランスとダイオードの間に発生する電圧の変化を観測すると、音楽信号の始まりで電圧が急激に上がる現象が観測できます。もし、ダイオードが無い場合にはこの電圧変化分のエネルギーはコンデンサに戻ります。電源に戻るエネルギーは本来スピーカーに送らなければならない筈です。ここにロスが発生していると思われます。私の解釈は以下の様なものです。

  1. スピーカーに逆起電力が発生する
  2. トランス1次側の両端に電圧が発生する
  3. SDにより逆流が阻止される
  4. 一時的にトランスにエネルギーは閉じ込められる
  5. スピーカー側が吸収できる様になるとトランスからスピーカーに出力される

この様な経緯により入力信号により指示された電力と積算値で同じ電力がスピーカーに与えられると考えられます。確認し易い例として単発正弦波によるテストがあります。通常の回路のアンプでは単発正弦波を入力しても音は出ません。ところがSDを使用したアンプでは音を出す事が出来ます。

SDに関しては実験が簡単ですから試される事をお勧めします。


出力回路の低インピーダンス化

SDの効果を発揮させる為に出力回路の低インピーダンス化は不可欠です。通常の電力増幅用3極管の出力インピーダンスでも十分とは言えません。5極管かビーム管を強NFで低インピーダンス化し使用する構成が最適と思われます。以下に1段アンプ、2段アンプ、3段アンプに関して適切と思われる回路形式を挙げます。

1st_amp.gif

1段アンプの場合コントロールグリッドとプレートは逆位相となります。予って、プレートからグリッドに帰還を掛ければNFとなります。点線内が帰還回路です。もし、出力管のgmが非常に高い場合、OP−Ampの反転増幅回路と同様なゲインの決定が可能となります。予って、この形式の場合使用する球は5極管若しくはビーム管のgmの高い球に限られます。
#1は通常のPG帰還回路です。超3Vor1はこの回路のNF抵抗を3極管に置き換えた回路です。#2はG3にgmがある球なら可能な回路です。使用可能な球に6RP22等が使用可能と考えられます。

2st_amp.gif

2段アンプの場合、前段のカソードへの帰還は正帰還となり使用できません。この場合は差動回路が最適と思われます。ゲインの決定は点線内の抵抗比で行います。前段の差動部に使用する球はゲインが高い必要が有ります。3極管なら12AX7程度のuが必要です。5極管を使用する場合はなるべくgmの高い球を使用します。

3st_amp.gif

3段アンプでは初段のカソードの位相と出力段プレートの位相は逆になります。よってPK帰還が可能になります。#1は通常のPK帰還の回路です。#2はG3にgmが有る球を使用した場合の回路です。6AS5等が使用可能です。

3段以上に関しては現実的でないので載せません。尚、回路は構成だけでDC電圧配分、抵抗値を考慮していませんので注意してください。

トランス2次側からの帰還と違い、出力段のプレートからの帰還では位相に関して然程注意は必要ではありません。よって非常に深いNFを可能にします。超3を既に製作された方は差動入力の回路もテストする事をお勧めします。音色に若干の違いはありますが、低域の鳴り方等は超3と同じ傾向の音を得る事ができます。6Y6アンプ6AS11アンプを参考にしてください。


G2のSD

私のページおよび宇多氏のページにG2にSD(?)を入れた回路が使用されています。この効果に関しては確認する事ができます。しかし、動作原理がよくつかめません。最近の情報で、アマチュア無線用のリニアアンプの出力管のG2にやはりダイオードが入っている回路があった事が解りました。
G2は負性特性を持っており、エネルギーを出す事がある事が分かりました。プレートのSDと発生のプロセスは違いますが逆流が発生する事が解りました。詳しくは現在調査中です。

1999/07/03


測定方法の問題点

IM歪み率の測定

過渡現象と再生音